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7 10月 2020

総合型選抜入試ってなに?|入試内容や高1・高2からできる入試対策は?

質問:総合型選抜って最近目にすることが増えたけど、どんな入試なのか、入試に向けてどんなことをしたらいいのか教えてください。(高2女子)

総合型選抜入試という言葉を大学のホームページでよく目にするのですが、どんな入試方法なのかを教えてください。

また、高2のうちから対策できることがあれば教えてください。

(高2女子)

回答:総合型選抜入試は旧AO入試のことで、各大学が独自に定めた求める人物像に合った学生をさまざまな方法で評価・判断する新しい入試のカタチです。

こちらの記事では総合型選抜入試についての基礎知識から、総合型選抜入試が導入された背景、さらには高1・高2が今すぐにできることを解説しています。

自分に必要な情報にあった目次からご覧くださいね。

 

総合型選抜入試とは

総合型選抜入試とは、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接などを組み合わせることによって、入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識などを総合的に評価・判定する入試方法です。

学力を構成する重要な3要素は、①知識・技能②思考力・判断力・表現力等③主体性・協働性といえますが、これまでのAO入試では、③のみが重視され、①②については選抜基準として軽んじられていました。

そこで文部科学省は、各大学が①②を選抜基準として重視できるよう、2021年度から総合型選抜入試を変更しました。

2021年度の変更では、総合型選抜入試の導入だけでなく、「高大接続改革」と言って義務教育の9年間で身につけはじめた「学力の3要素」を高校教育、大学教育でさらに総合的に育める仕組みに変えようと3つの改革がなされました。

 

Q&Aでわかる!総合型選抜入試7つの基礎知識

Q&Aイメージ

ここでは、総合型選抜入試についての基礎知識をQ&A形式でご紹介します。

 

Q1. 総合型選抜入試で求められる力は?

A1. 知識・技能 / 思考力・判断力・表現力 / 主体的に学習する態度の3つ

総合型選抜入試は、大学ごとに特色をふまえて独自に作成した大学の求める学生像(アドミッション・ポリシー)に沿うかどうかを判断する入試です。

一般的には以下の学力を構成する3要素を確認できるような入試方法がとられています。

①基礎的・基本的な知識・技能(「知識・技能」)

② 知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し、成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力(「思考力・判断力・表現力等」 ) 

③ 主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度

 

Q2. AO入試とはどう違う?

A2. 学力評価も重視されるようになります

これまでのAO入試で軽んじられていた上記①②を選抜基準として重視するため、総合型選抜入試では、各大学が実施する評価方法に、共通テストを含む教科・科目に係るテストや小論文、プレゼンテーションなど、学力を確認する評価方法を活用することが必須となります。

また、出願時に受験生自身が作成した書類の提出が求められるのも特徴的です。

 

Q3. 受験スケジュールは?

A3.  9月中旬より出願がはじまります

詳細は各大学・学部等によって異なりますが、多くの大学では、以下のスケジュールに沿って受験が行われています。

 出願期間  9月中旬

 第一次選考 10月初旬

 第二次選考 10月中旬~下旬

 合格発表  11月初旬~中旬

 入学手続  11月初旬~下旬

 

例)立命館大学産業社会学部産業社会小論文方式(2021年度入試)

 出願期間 2020年9月15日(火)~ 9月18日(金)

 第 1 次選考日 2020 年 10 月4日(日) 

 第 1 次選考合格発表日 2020 年 10月9日(金) 

 第 2 次選考日 2020 年 10月18日(日) 

 第 2 次選考合格発表日 2020 年 11月2日(月) 

 第 1 次入学手続期間 2020 年 11月4日(水)~ 11月17日(火) 

 第 2 次入学手続期間 2021年3月8日(月)~ 3月24日(水)

選考方式<2 段階選抜> 

 第 1 次選考:書類選考(出願書類)、小論文試験の総合評価 

 第 2 次選考:個人面接 

 最終合否判定:第 1 次選考と第 2 次選考の結果を総合的に評価

 

Q4. 選考内容は?

A4. 書類・小論文・プレゼンテーションなど大学・学部によってさまざま

受験生の意欲や関心をはかるために、受験生本人が作成した書類による審査と面接審査を組み合わせる2段階選抜方式が採られることが多いです。

それに加えて、学部ごとの特色を反映した選考方式が課されています。

出願書類としては、課題論文、将来設計書、小論文、調査書、活動報告書、自己推薦書、能力・実績を示す証明書等がありますが、受験生本人が作成した書類が求められるようになっているのが特徴です。

 

例)近畿大学国際学部AO入試(総合型選抜)

 第一次審査:書類選考

 第二次審査:筆記試験(日本語と英語による小論文)と日本語及び英語による口頭試問

 最終合格判定:第一次審査と第二次審査の総合審査

 

Q5. 出願資格は?

A5. 一番大切なのは、その大学で学びたいという強い意思

志望大学で学びたいという意思を持っていること、合格した場合の入学の確約が求められることが多いです。また、高校の評定平均値を一定程度持っていること、各学部ごとの特色をふまえた一定の成績・経験等を求められることもあります。

また、総合型選抜入試は、多くの大学で浪人生でも受験することが可能です。詳しくは志望大学の募集要項をご覧くださいね。

 

例)同志社女子大学学芸学部メディア創造学科

 建学の精神・教育理念を理解し、本学における学びや諸活動に自発的・積極的に取り組むとともに、本学の核となる意欲を持つ者で、次の各号(1~3)の条件をすべて満たしている女子。

 1.高等学校卒業またはその見込み、もしくはそれに準じる学力があると認められる者。

 2.同志社女子大学を専願とし、合格した場合は、本学への入学を確約できる者。

 3.メディアあるいは情報の分野における運用能力や、メディアを用いた表現について強い関心があり、積極的に勉学したいと考えている者。

 (自己アピールできる活動分野)

   ①メディアあるいは情報の分野における運用能力や、メディアを用いた表現について高度な資格や水準を有し評価を得ている者。 

  ②芸術・文化活動の分野において、公のコンクール・展覧会で入賞・入選するなど、優れた実績を有する者。

 

Q6. 検定料(受験料)は一般入試と比べて高い?
A6. ほとんど同じ

総合型選抜入試の検定料は、多くの大学で30,000〜40,000円です。これは、一般入試の検定料とほとんど同じです。

大学によっては、総合型選抜入試の選考過程に合わせて検定料を設定している大学もあるので、詳しくは、志望大学の募集要項をご確認ください。

 

Q7.一般入試と総合型選抜入試を併願することはできる?

A7. できる

基本的には可能です。出願する時期が異なるため、どちらの選抜にも出願することができます。

ただし、選考内容が大幅に異なるため、併願をする人はそれぞれの入試対策をする必要があります。また、どちらの選抜にも検定料が発生するため、保護者の方と相談して決めることをオススメします。

 

総合型選抜入試が導入される背景

ここからは総合型選抜入試が導入される背景にある文科省が策定している高大接続改革についてご紹介します。

自分たちが受ける入試や教育の背景にある考え方や変遷を知ることは、入試において求められている力を理解することにもつながるので一緒に勉強していきましょう。

 

高大接続改革とは

グローバル化や人工知能技術をはじめとする技術革新などに伴って、社会のあり方も急速かつ大きく変わっており、予測の困難な時代にあります。

このような時代を生き抜くためには、新たな価値を創造していく力を育てることが必要であり、そのためには、上述のような『学力の3要素』を育成・評価することが重要です。   

そこで、義務教育である小中学校から身につけはじめた「学力の3要素」を高校教育で確実に育成し、大学教育でさらに伸ばせるような仕組みがつくられます。

また、高校と大学をつなぐ大学入学者選抜においても、多面的・総合的に評価するという仕組みがつくられます。

 

3つの改革

高大接続改革における具体的な3つの改革を紹介します。

ここまで紹介してきた総合型選抜入試は、3つの改革の1つである大学入学者選抜改革に含まれます。

 

高等学校教育改革

高大接続改革における高校教育改革は、①教育課程の見直し、②指導方法の改善と教員の指導力向上、③多面的な評価の推進から進められます。これらによって、高校生が主体的・対話的な学び及び深い学びを経験し、「生きる力」を養成することが目指されます。

 

大学教育改革

全ての大学が各大学の建学の精神や強み・特色等をふまえ、以下の3つの方針を自主的・自律的に一貫性あるものとして定め、公表します。それによって、大学教育の質の向上や、高校の進路指導の改善が目指されます。

①卒業までに学生が身に付けるべき資質・能力を示すディプロマ・ポリシー

②それを達成するための教育課程の編成・実施の在り方を示すカリキュラム・ポリシー

③これら二つのポリシーを踏まえて学生を受け入れるためのアドミッション・ポリシー

 

大学入学者選抜改革

まず、従来の大学入試センター試験に代わるテストとして「大学入学共通テスト」を実施することになります。

共通テストは、大学入学希望者を対象に、高校までに学習する基礎的な内容が達成できているのか、大学教育を受けるために必要な能力を持っているのか、を把握することを目的としています。

このため、各教科・科目に合わせた知識・技能を十分に持っているかだけでなく、思考力・判断力・表現力も評価される入試に変わりました。

 

また、大学ごとの個別入学者選抜においても、入試区分に合わせて名称も以下のように変更されました。

変更前 変更後
一般入試 一般選抜
AO入試 総合型選抜
推薦入試 学校推薦型選抜

 

 

大学入学者選抜改革で何が変わるか

日程イメージ

ここでは、大学入学者選抜改革について具体的にどんな改善がなされたのかを、入試の試験内容試験日程に分けて解説していきます。

 

《試験内容》

これまでの課題

これまでの一部のAO入試では、面接や自己推薦書などを選考内容に設定し、高校までで学習した内容における「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を問わないものがありました。

これらの選考内容では、高校までの学習内容と、大学入学後の学びがスムーズにつながっていないという課題があげられていました。

 

今回の改善点

そこで、 大学教育を受けるために必要な「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」も適切に評価するために、調査書等の出願書類だけでなく、各大学が実施するバラエティー豊かな評価方法や、学力を評価できる「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つを取り入れることが必須となりました。

 例えば、自らの考えにもとづき論理的に記述させる評価方法(小論文等)、自らの意見を他者に伝わるように表現するプレゼンテ ーションなどがあげられます。

そのほかにも、口頭試問、実技、各教科・科目にかかわるテスト、資格・検定試験の成績など 各大学・学部が定める「求める人物像」を満たしているかを評価できる選考内容があります。

また、 総合型選抜入試は、志願者自らの意思による公募制であるため、本人の記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書等)を積極的に活用することになります。

 

《試験日程》

これまでの課題

これまでのAO入試では、早期に合格が決定されることにより合格発表後の高校の授業や本人の学習意欲に悪影響を及ぼしたり、その後の大学教育にスムーズに繋がっていないとの問題も指摘されていました。

本来は、高校の学習を終える時期とできるだけ近い時期に、出願・ 合格発表が行われるほうが、高校の授業や学習意欲への影響が少なく適切であると考えられます。

 

今回の改善点

 そこで、総合型選抜入試(旧AO入試)では、学力の3要素を多面的・総合的に評価するために必要な期間と、 高校の授業や本人の学習意欲への影響などの観点から、出願時期と合格発表の時期が1ヶ月ほど後ろ倒しになりました。

出願時期 9月以降
合格発表 11月以降

 

高1・高2が総合型選抜入試に向けて今からできる3つのこと

1. 評定をあげること 

総合型選抜入試において、大学・学部によっては出願資格に一定の評定平均を持っていることが条件としてあげられます。

評定平均は、受験直前に大幅に挽回できるものではありません。

そのため、早期から総合型選抜入試での受験を視野に入れている人は、定期テストで点数をとったり、提出物を忘れずに出すなど日常からコツコツ努力を積み重ねることが大切です。

中学の時と比べ、高校では科目数も増えるため、定期テストでまんべんなく点数を取るのはとても大変です。

前もって学習計画を立てたり、学習方法に工夫をすることも重要です。テスト前の勉強方法については学校の先生や塾の先生に相談してみるといいでしょう。

 

2. 課外活動に力を入れること

総合型選抜入試では、出願時のエントリーシート、自己推薦書などで、高校生活での課外活動について問われることが多くあります。

課外活動についてもすぐに取り組めるものではなく、継続的な取り組みが必要であると言えるため、早くから取り組むことをオススメします。

ここであげる課外活動とは、部活動やボランティア活動、学外で行われるプレゼン大会への参加などさまざまなものが含まれます。

大切なことは、課外活動にただ取り組むということではなく、どうして取り組むのか、何のために取り組むのか、取り組みの中でどんなものを得られたか、などを日常的に考えながら取り組むことです。

そうすることで、入試の際に求められる活動報告書や、面接時に課外活動について問われてもあなたらしい言葉で大学に伝えることができます。

 

3. 読書

最後に総合型選抜入試で受験を考えている高1・高2の人が今すぐにできることは読書です。

ありきたりだと感じる人もいるかもしれませんが、読書をすることで得られることは多くあります。

総合型選抜入試では、「大学で学びたい」という強い意思だけでなく、小論文やプレゼンテーションなどを用いて「思考力・判断力・表現力」も評価されます。

つまり、学びたい思いやこれまでの高校生活での学びを大学の教授や面接官に伝わる言葉で伝える力が求められます。

本を読んでいると、自分が日常の中で使わないような言葉と出会うこともあり、自然とボキャブラリーを増やすことができるのです。

また、小論文を書く際には、自分の考えを述べる際に根拠となる事実や、背景知識を含めるとより説得力のある文章になります。そのため、日常の生活の中では触れないような社会のことや、歴史の流れなどを読書で補うことができるでしょう。

本を選ぶ際は、興味のある分野だけでなく、知らない分野のものを選ぶといいでしょう。

図書館や、本屋さんではカテゴリーごとに本が置かれています。それぞれのカテゴリーから1冊ずつ気になる本を探してみても面白いでしょう。

 

高2の冬までに受験スタイルを決めよう

高2冬イメージ

今回の記事では総合型選抜の概要や総合型選抜を受験するために高1・高2が今すぐできることについて紹介しました。Study Roomでは総合型選抜に限らず、受験大学や受験スタイルを高2の冬くらいまでに決めることをオススメしています。

大学によって入試の形式・選考内容・問題の傾向が異なるため、早期に受験校を定めてそれに合わせたカリキュラムを組み学習を進めることが合格の鍵であると考えているからです。

 

また、Study Roomでは学力だけでなく、日々の学習姿勢や性格、将来やりたいことや、関心があること、さらに現状の生活スタイルなどを踏まえて、一人ひとりに合った進路相談や、学習サポートを行っております。

進路について考えたいけど、何から考えたらいいかわからない」という人や、「やみくもに勉強をすることに不安がある」という人はぜひ一度ご相談ください。

オンライン授業やオンラインでの面談も行っておりますので、関西圏にお住まいの方であれば、継続的な学習サポートをご提供致します。

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参考サイト